Vol.02 2018年5月27日に開催した、イベントレポートを公開

|ヤングアスリートマネジメント

前回も大好評だった『YOUNG ATHLETE MANAGEMENT』講座。今回も今プロジェクトを監修する株式会社グラスルーツの今野敏晃氏が登壇し、前回の人数を上回る参加者を前に子どもの育成とサッカーとのかかわり合いについて語っていった。

イタリア在住の経験や、現在はレアル・マドリード財団の要職に就き、またレアルやACミラン、チェルシーなどヨーロッパのビッグクラブが運営するサッカースクールを束ねた合同事業も運営する今野氏。サッカーの本場、ヨーロッパにおける幼少期の子どもとサッカーの関係性を軸に講座は展開されていく。

「ヨーロッパではサッカーを指導することは、サッカー選手を育てるのではなく、人間を育てるという観点です」とわかりやすい定義を語った今野氏。

さらに、日本人には馴染みのある「心・技・体」というフレーズを持ち出した。「この3つの言葉は、この順番だからこそ成り立ちます。心、すなわちメンタルが整って、初めて技術を活かすことができ、体を動かすことができます」。

ただ、心=メンタル、ここの捉え方が日本とサッカー強国が数多いヨーロッパでは異なるという。

「日本人にとって、メンタルと聞けばどこか根性や感情といった要素を連想すると思います。ただ、メンタルは感情、思考、行動の3つから成立しています。考えて、行動するところまでがメンタルです」

ここで大切になってくるのは、思考と行動の部分。「子どもは大人よりも経験していることが少なく、どうしても考え方や行動の幅が狭くなります。ただ、感受性は豊かなんです。その中で、成功体験は失敗体験の積み重ねと消化していけるかどうかは、大人とのコミュニケーションにかかっています」。

例えば、足が遅いからうまくプレーできない、体格が小さいから競り負けてしまうなど、子どもながらに相対評価で自信ややる気をなくしてしまうことも多々ある。そんなときに、「失敗体験をポジティブに置き換える作業を、大人の方は意識していただきたい」と今野氏は強調した。

その作業の一つとして、「サッカーを“プレーする”。この本当の意味を子どもたちに理解させることが大切」であると語る。

日本語でスポーツをプレーするとは、まさにルールに則って競技するという狭小的な意味である。しかし、ヨーロッパでは”PLAY”、まさに「遊ぶ、楽しむ」の感覚をスポーツでも大切にしている。そして楽しむことや遊びには、必ず失敗を恐れずにチャレンジ、トライする要素が出てくる。これが、競技面でも表れるか否かで、子どもたちのサッカーに対するかかわり合いが変わってくるという。

「例えば、子どもの頃によくやった缶蹴り。日本だと、ずっと隠れたままで鬼のところにある缶を蹴ることができない場面が多いと思いますが、あの遊びの本質は仲間を助けるために、缶を蹴ることなんです。失敗を恐れてチャレンジしないのでは、それは遊びではない。サッカーも同じで、プレーするということはトライしてミスをしたとしても、それを容認することが本質です。何より、プレーしながら子どもを萎縮させないことが大切です」

そして、ここで小林選手が登壇し、参加者との質疑応答が始まった。保護者の方々からは子育てや指導に関する悩みが率直に語られる中で、小林選手も自身の体験談をベースに忌憚のない意見を語っていった。

「僕も昔は浮き沈みが激しかったです。ただ僕の親はそれに対して何も言わず、良かったところだけを伝えてくれました。『あれがダメ』、『これがいけない』とばかり子どもに言ってしまえば、きっとその子はサッカーを嫌いになってしまうかもしれない。だから、例えばお子さんが『今日、サッカーの練習に行きたくない』というときは、無理に行かせなくてもいいと思う。一度離れてリフレッシュして、また戻りたければ戻ればいい。何より、子どもの心が疲れないようにしてあげることだと思います」

また、左足を駆使し、テクニックとプレーセンスを武器に戦う小林選手らしい観点の意見も飛び出した。

「日本では、たくさんのポジションやプレーができる選手を育てようとするし、そういう選手が重宝されます。でも僕が今プレーするオランダでは、FWしかできない、ウイングしかできないという選手がたくさんいる。でもそれを子どもの頃から極めて、今プロで生きている。そういう考え方もあるんです。

以前、練習中に左足だけでボールを蹴っていたら、ある監督に『右足も使わないと世界でやっていけないぞ』と注意されました。でも、僕はずっとこの左足一本でここまで来た。その夜、ジュビロ磐田でお世話になった名波浩監督(現役時代は左利きの選手)に電話して相談したんです。そうしたら『お前が左足だけで世界で活躍すればいいだけの話』と言ってもらえた。その選手の個性は本当に大事だと感じました」

その他にも「子供のやる気をあげるためには?」という質問に対して、「僕は子供の頃は父に注意されたあと、必ず焼き鳥屋さんに連れて行ってもらっていました(笑)何気ないアフターケアだったのか、そんなことが子どもはうれしかったりします。厳しくすることは大切ですが、ぜひ焼き鳥食べに連れて行ってください」とユーモアを交えて答えていた。

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