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どんな保護者も親心があり、将来子どもにはこうなってほしいといった思いが内心あるものです。本プロジェクトでは、子供の将来に向けて保護者は、引っ張っていく立場ではなく、後押ししていく立場であることが望ましいと考えています。
 何より子どもの自律(自立)心を促すこと、成長させることが目標や夢に向かう目的でもあります。そのためには、当然何でも決断、判断を自らできる人間が理想ですが、同時に幼少期は知識や経験が不備であり、大人の手助けが必要です。そこで必要となるのがプロデューサーとしての役割です。

 これが、ここでいう『プロデューサー』の役割になってきます。
 そしてそのアシストのカギを握るのが、距離感です。子どもに近すぎる距離のアシストは、過保護になってしまう。遠すぎる距離では、アシストはおろか過度な放任になってしまう。保護者がいかに子どもと絶妙な距離感を持って支援、サポートをしていけるかが大切になってきます。


精神科医で日本スポーツ精神医学会に所属する木村好珠先生はこう話します。 「子どものゴールを一緒に考えてあげることは、保護者にとって大切な役割です。あくまで『こうなりなさい』と押し付けるのではなく、寄り添って目標を考えていくのです。例えば、子どもが描く夢は『メッシになりたい!』とか、大きすぎてしまう場合があります。そこまでの道のりを立てると言っても、それは大人でも正直わかりませんよね。だからこそ、その大きな夢を否定することなく、それに向けてまずはもう少し身近な目標から設定していくことを、保護者には助けてあげてほしいです。まだ手が届かないけど、もう少しで届きそう。そんなレベルの目標で構いません。さらに、届くために具体的に何をすべ

精神科医で日本スポーツ精神医学会に所属する木村好珠先生はこう話します。「子どものゴールを一緒に考えてあげることは、保護者にとって大切な役割です。あくまで『こうなりなさい』と

きかを考えない子どもも多いです。ただガムシャラにやればたどり着けると考える子どももいるので、そこも大人の経験や考え方から計画を立ててサポートしてあげることは大切です。もちろんコーチや監督との関係も重要ですが、やはり何十人もの子どもたちを見ているので難しいところもあります。だからこそ、保護者の距離感が大切です」

押し付けるのではなく、寄り添って目標を考えていくのです。例えば、子どもが描く夢は『メッシになりたい!』とか、大きすぎてしまう場合があります。そこまでの道のりを立てると言っても、それは大人でも正直わかりませんよね。だからこそ、その大きな夢を否定することなく、それに向けてまずはもう少し身近な目標から設定していくことを、保護者には助けてあげてほしいです。まだ手が届かないけど、もう少しで届きそう。そんなレベルの目標で構いません。さらに、届くために具体的に何をすべきかを考えない子どもも多いです。ただガムシャラにやればたどり着けると考える子どももいるので、そこも大人の経験や考え方から計画を立ててサポートしてあげることは大切です。もちろんコーチや監督との関係も重要ですが、やはり何十人もの子どもたちを見ているので難しいところもあります。だからこそ、保護者の距離感が大切です」


 保護者が子供に対して普段の生活から行っていること。例えば日々のスケジュールを管理し、食事を作り、サッカースクールに通う子どもであれば用具を揃える。ただ、こうした行動はまさに『子育て』そのものであり、一つひとつが子どもの成長にどうつながっていくのかを、逐一理解して行っているものではないでしょう。



|「実は、プロサッカー選手と子どもたちは、同じ立場でもある」

木村先生曰く、
「プロ選手はスタッフにピカピカのスパイクや食事を用意してもらい、日程も管理されます。それによって、選手はサッカーに集中できます。保護者もある意味、このスタッフと同じ役割ですよね。子どものスパイクを準備して、ご飯も作って。ただ、当然単なる仕事やスタッフではないのは、それは大切な『子育て』でもあるからです。
 プロになれば周りがサポートしてくれますが、子どもにはいません。サポートをするのは保護者になります。育成ピラミッドの最下部の『マネジメント』とは、子どものメンタリティを形成する役割です。つまり、毎日一緒に生活している保護者が、このサポートを漠然とではなく意識して行うだけでも、子どもの成長は変わってきます」



|なぜ『子育て』を『マネジメント』と意識する必要があるのか?

木村先生がさらに続けます。
「何気なくやっていると、それが子どもの土台作りになっていることに気づけないと思います。意識付けをすることで、保護者自身もしっかり取り組むことになるでしょうし、同時に保護者が当事者意識を持って自分のことに取りくんでくれていることが、子どもにとっても目標への原動力になります。家族全員の連結にもつながるでしょう。
 子育ては悩みの連続だと思います。自分の子供のことは何より悩むでしょうし、その都度方向性がブレてしまうこともあるでしょう。ただこうした意識付けをすれば、方向性がきちんと生まれます。何より意識を持つことで、『きちんと子どものしたいことをしっかり支えている』という気持ちが保てれば、保護者側のメンタルケアにもつながるのです」

何気ない『子育て』から、子どもの将来に直結する『マネジメント』という考え方へ。マネジメントという言葉を使うと、どこか温度を感じさせないような印象もありますが、あくまでこれは役割を明示するフレーズであって、その背景にはしっかりとした親子関係が子どもの未来につながるということが、木村先生の分析からも理解できたでしょう。

 小林祐希選手のコラムでも、今回触れた親と子の「絶妙な距離感」の大切さについて、彼の経験談から語られています。プロデューサーという役割、それは保護者があくまで後方支援者となりながらも、しっかりと子供と寄り添い将来を形作る行動をすること――。もちろん、そこには誰よりも近い存在である両者の温かさが介在しています。

profile

木村 好珠(Konomi Kimura)

慶應義塾大学病院精神科医師を経て、静岡赤十字病院精神神経科勤務。Jリーグ横浜FCフットボールアカデミーなどで保護者向けセミナー講師も務める。日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。

慶應義塾大学病院精神科医師を経て、静岡赤十字病院精神神経科勤務。Jリーグ横浜FCフットボールアカデミーなどで保護者向けセミ

ナー講師も務める。日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。

text by 西川結城(Yuki Nishikawa)

大学在学中より横浜FCの専属ライターとして活動を開始。2007年よりサッカー専門新聞『EL GOLAZO』の記者として数多くのJリーグチームと日本代表を担当。海外クラブで活躍する本田圭佑や吉田麻也も若い時代から取材。現在はサッカー、スポーツ誌各媒体にも寄稿している。